魂喰

†sweat holiday
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雲が太陽を隠し空を薄暗くする。
休日の午前中


とたとたと此方に近づいてくる聞き覚えのある足音。

それと同時に
俺を呼ぶ心地好いソプラノ。


「博士ー!」


また来たんですか貴女は。

俺の気も知らないで…
雨の日なんて特に普通じゃいられないってのに



最近マカのせいでマリーの機嫌が悪いんですよ?貴女が無邪気すぎるから彼女がヤキモチを妬いているでしょう?



でも、1人でいる時よりはずっと楽になる。






マロンのツインテールを揺らしながらステップしてくるマカを自分の腕の中へと招き入れると一変して和らぐ場の雰囲気と俺の世界。

そして自然な効果音を
奏でる雨の音。


1分1秒が長く、でも大切にしないとあっという間に過ぎてしまう
こんなにも心地のよい
彼女との時間。



マカは俺の腕の中でさっきから手に持っていた紙袋を開けて見せた。



「あのね、これ博士と食べたいと思って焼いてきたんだけど…」



それは小さな橙色のパイ。

「…パンプキンパイですか」


マカはちらりと俺の表情を伺い目線を紙袋へと移した。


「甘いもの、嫌いだった?」


不安そうに俯くマカがすっごく可愛くてふっと笑みが溢れてしまう。

「そんなことないよ」


俺の顔を見て安堵したのか、マカも少し頬を赤らめて笑う。


「じゃあ食べよっか♪」



「えぇ、頂くとしますか。……マカと一緒にね」


「もぅ、博士」

さっきよりさらに顔を朱に染めて怒るマカを抱き寄せてベッドに身を沈める。

「寂しかったんですよ?だから最近会えなかった分…ね?」


柄にもなく甘えられるのはマカだけ。
そしてそんな俺を理解し甘えを聞いてくれるのもマカ、彼女だけ。

そしてこの小さな身体を慣らさせたのは俺。



「…ここに、来づらかったんです。」

マリー先生に気を使わせてしまうから、と。そんなの気にしなくてもいいのに。いっそ見せつけてしまおうかと言うとマカは決まって頭を左右に振るのだ。


彼女の細い太ももを撫でてやると、びくんと身体を震わせ抵抗の意思はないだろうが「ばか」と鼻をつままれた。
















―――――――――――


ふと目を覚ますと窓から差し込むオレンジの光。
あれからどのくらいの時間が経ってしまったのだろう。

隣を見れば静かに寝息をたてる小さな少女。起こしてしまうのが惜しいほどに綺麗な寝顔。

だがもうすぐ辺りは暗闇に包まれるだろうしそろそろ家に帰らせないといけないのでマカの肩を揺さぶる。


まか、まか、起きて





明日は学校だ







この甘い時間ももう終わり










end.
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