婆裟羅
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†不器用な愛情表現
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「さっさとしろ市!」






「はい…長政様…」








戦に出るというのに
今日の市はなぜかいつも以上におどおどとしていた。

そのせいかイライラがつのり少し当たり過ぎてしまった。


「ごめんなさい、
ごめんなさい…」

市はずっとこの調子だった。

















辺りも大分暗くなり冷たい風が吹く。夜の山越えは市もいる中ではキツいと判断し近くの山小屋に身を寄せることにした。


「明日の朝には軍を進める!それまでは各自休憩を取っておけ」


「ははっ!」


兵に明日の予定などを伝えると市の待つ小屋へと向かった。






















「今戻った」



市は部屋の隅で何かごそごそとやっていた。

「どうした市?そんなところにいないでこっちに来い!」


ぶっきらぼうに手を差し出す。すると市はその手を取り長政の隣に腰をおろした。


「あのね、市…その…」


市の頬がほんのり朱色に染まる。

「い、言いたいことがあるのならハッキリ言え!
隠し事は悪だぞ!」



うん…と市は続ける。


「実は今日…長政様の為に…おにぎり握ってきたの…」



「…おにぎりだと?」




「えぇ…市はいつもいつも
長政様に貰ってばかりだから…」



「…………ふん!
そんないらぬ気遣いを!」





そう言うと長政は市の差し出した

重箱一段にぎっしりと詰め込まれた形の歪なおにぎりを米粒1つ残らぬように全てたいらげた。





「…おいしかった?」




「…形はあれだが味は…
…まぁまぁだったぞ!///」



「そう……嬉しい…
今度はもっと長政様に喜んでもらえるように市、頑張るから…」




「あぁ…」

市の頭を撫でてやると
ふふ、と照れたように笑う。


「はっ、恥ずかしい雰囲気を
作るな市!」



「ごめんなさい…」

口癖のように謝りながらながら市は笑った。



















end.
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