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換骨奪胎3*
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太陽がだらしなくよだれを垂らしながら沈み始めた頃、俺はキッチンでいつものように夕食の準備をしていた。すると玄関の方からばたんと扉の閉まるような音がした。





「ただいま――――――…」




「………マカ?」
とてとて、と可愛らしい足音が近づいてくる。
帰ってきたのか?
調理器具を置いて足音のした方を向いた。
「!!!」
マカはすぐうしろにうつむきながら立っていた。互いの息を肌で感じられるほど、近い。その肩は震えていた。
かける言葉が見つからずしばらく沈黙が続いていると、先にマカが口を開いた。

「……ごめん、ねぇ」
先程よりも肩が、全身が小刻みに震えている。そしてそのまま俺にもたれかかると、か細い腕を回してきた。
俺も、悪いとは思っていた。ただ素直になれなくて、そんな自分にイラついてデスサイズにあたっていた。

いつまでも意地張ってるなんてCOOLじゃねぇよな。その細っちい身体を抱きしめようとするとマカは、俺の脇からするりと腕を抜いた。

その手に握られていたのはさっき俺が夕食の仕度に使っていた包丁。

「ばかソウル」

マカが怒ってる、俺刺される…?
いやそんなんでさされたらシャレにならねぇぞ。素直に謝ろう。

「ごめ…」



謝罪の言葉を口にしかけると同時に、さく、と肉が切れる音がした。

服に染みができていく。

マカは泣いていたのではなく、小刻みに震えていたのは堪えられない狂気の感情を抑えていたからだった。

腕からぼとぼとと吹き出る黒。彼女は自分の腕を切ってみせた。ケタケタと肩を揺らしながら。溢れ出る液体が二人を濡らしていく。

「おい、マカ…!」

包丁を奪い取ろうとするとその手はひょいと空を切った。いつのまにかマカは俺の腕の中にいた。そして俺の顎を持ち上げると首筋に唇を寄せる

「……っ」

「一緒に堕ちれば、楽になるよ」

どす、と腹部に裂けるような痛みが走る。その瞬間視界が真っ白になった








光が、眩しい



嫌な汗が額を伝っていく。



「朝、か……」
ボリボリと頭を掻く。現実に引き戻されればそれは、

(夢 だったんだ……)






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