1/1p 沖田が特にすることもなく屯所内をぶらぶらと歩いていると、平助が縁側に腰かけているのが見えた。 ぼーっと上の空だったかと思えば、眉間に皺を寄せうーんと唸って深い溜息をつく。 なにか考え事をしているのは明らかだった。 「どうしたの?悩みなら僕が相談にのってあげるけど」 平助は周りが見えていなかった様子で「おわっ」と間抜けな声をあげた。 「いきなり話しかけてくんなよ、驚くじゃんか」 あはは、と沖田は笑いながら隣に腰を下ろした。 「僕に気付かないのが悪いんだよ」 すると平助は溜息をついた。その態度に沖田はむっとする。 「なに、そんなに僕に話すのが不満?」 「そんなんじゃないんだけどさ、ただ…」 「?」 平助は俯いたまま困ったように再び溜息をつく。 「昨日、佐之さんたちと島原に行ったんだけど」 そこで一旦区切ってから、声色を落とした。 「初めて女を買ってみたんだ」 ふーん、と沖田はあえて突っ込まずに「感想は?」とだけ尋ねた。 するとわずかに平助の瞼が伏せられる。 「…正直、辛かった」 「は?」 沖田は間抜けな声を出していた。辛いとはどういうことなのか。平助だって男なのだから女を抱きたいと思うのは当然なはずなのに。己を満たす為の行為であるはずなのに何故辛いという感情に至ったのか。もしやと思いニヤニヤしながら平助を見やる。 「欲を我慢するのが…とか?」 「いや、その…」 沖田はその瞬間、平助が拳をきゅっと握るのを見逃さなかった。 「千鶴が、 千鶴が笑顔で俺らの帰りを待ってる姿が思い浮かんできて、まともに女のこと触れなかった。…いや、触れたくなくなった。なんでだろ」 気まずそうに庭を眺め、またひとつ眉間の皺を増やす。自分自身でさえこの内に渦巻いている感情が何だか分からず困っているようだった。 女を抱くのが辛い、なんて言ったら佐之さんたちに「なんだそりゃ」と笑われるんだろーな、と平助は苦笑した。 「ははーん、なるほどね」 気付くのに一足遅れた恋心、と沖田は思った。他の女を抱いてからその感情に気付くなんて酷だなと他人事だからこその安心感を感じた。自分だったらそんなヘマしないけどね、第一千鶴ちゃんは譲れないし、と。なんだかんだいっても沖田も千鶴を好いていたがそれは愛という感情よりも独占欲的なものだった。 せっかく転がり込んできたお気に入りの玩具を誰かに奪われるなんて許せない。 「僕だったらそんな失敗しないよ」 「どーゆう意味?」 はぁ、と逆に沖田の方が溜息をついた。 (…それ、恋だよ) (はぁぁ!!?こっ、恋?俺が千鶴に?) ―――――― 島原で「女はいいぞ〜!」と平助に勧めまくったのは新八という設定。 ごめんよぱっつぁん でもそれぐらいのことがないと平助も自分の気持ちに気付かないかなでもそんな初なところもいいかもしれんという勝手な妄想から出来たお話。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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