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□大丈夫ですから!




擦りむけた皮膚に段々と赤が滲んでいく
お湯が染みる…。
傷口を庇いながら痛いのを我慢して立ち上がった。








まさかお風呂場で怪我をするなんて。



何もまとっていないため寒さに耐えきれないとばかりに鳥肌が立つ。早く湯を浴びようと急いだのが悪かった。足がもつれ体制を崩しおもいっきりすっころんだ。とっさに肘をついたので顔からいくことはなかったが代わりにそこを擦りむくハメに。


自室に戻り今に至る。
自分のドジさ加減にうんざりしながらも傷口の血を、湿らせた柔らかい布で拭っていく。いくら自分の傷の治りが速いとはいえ、切り傷とは違い皮膚の捲れた範囲は広い。
憂鬱な気分になる。

地味に痛いなぁ

布を置き血をまじまじと見つめてみる。
しばらくして傷口が塞がるのと同時に「千鶴、いいか?」と土方さんが襖を開けた。

「どうぞ」





私の返事が聞こえなかったのだろうが。土方さんは部屋の前で立ち尽くしている。やがて眉間に皺がよっていく。


「あの…?」





「総司の体調が優れねぇみたいだからお前に見てもらえればと思って来てみたんだが…その血はどうしたんだ?」

その血とは。彼の視線の先には先程傷口を拭うために使用していた布が。

「あ、それはさっき血を拭っていて…」

「だからそれがなんの血かって聞いてんだよ」


イライラさせてしまったみたいで申し訳ない気持ちになってしまう。小さく「すみません」と頭を下げると、土方さんが私の前に膝をついた。

「怪我したんだろ、見せてみろ」


「…でももう塞がってしまったので平気です」
私が怪我の経緯を短くまとめて説明すると土方さんは、はぁとため息をついた。

「私って本当ダメですよね…」

「ああ、本当にな。決めた。次からお前の湯汲みの時には見張りを一人付ける」


「えっ!…大丈夫です!」

「万が一他の隊士に遭遇するなんてことがあるとも限らねえしな」

「うう…」

本当に大丈夫ですから、という私の訴えは通ることはなかった。




(危なっかしいお前にこれ以上怪我なんてさせられるか)




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