1/8ページ目 「ーヤコ、帰るぞ」 いつものように頭を掴みあげる。 「…うん」 ただヤコがいつも通りではなかった。 何か気の進まないような顔をしているがさほど気にはしなかった。 眠気が我が輩を襲う。 最近は特にそうだ。 血族共との戦いも控えているというのに困ったものだ。 身体がソファーに沈みこむ。 (妙に静かだな…) 奴隷に目をやると、 暮れかかった茜空を 窓越しに見つめ 力無く壁に寄りかかっている。 珍しい事に今日は生ゴミも持ってきてはいないらしい。 理由もなしに呼んでみる。 「 ヤ コ 」 するとゆっくりと我が輩に顔を向けて一言。 「………何?」 フム。 我が輩は手招きをする。 「こっちに来い」 「………」 弥子は黙って我が輩の隣りまで来た。 こうも空気が重いと流石に眠りにくいので理由だけ質問してみる。 「どうした? いつもより貴様のテンションとやらが 低いようだが」 「別に…」 別に何もないというような表情ではない。 つッかかるな… 「話してみろ」 すると弥子は口を開いた。 「今日の事件、ね…あの、現場…」 「……」 「似てて…つい、お父さんの事件の事、思い出しちゃって…」 弥子の目には涙が溜まっていた。 「…ッ ゴメン、アンタにこんな事話したって…」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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