高鐵山孝之進（こうてつやまこうのしん 本名：菅孝之進 1942年7月9日生）［大相撲力士/親方］
北海道出身。14歳の時に上京し、朝日山部屋へ入門。1957年3月場所で初土俵を踏んだ。同年5月場所では番付外から新序に上がり好成績を収めたので、翌9月場所（当時、7月場所はなかった）ではいきなり序二段に付いた。
1963年1月場所では新十両に昇進して、朝日山部屋再興の期待を担った。その後、同年9月場所で新入幕。一時期は十両との往復が続いたが、師匠（元関脇・高津山）が死去して大鳴戸部屋と合同してからは若二瀬という同年代の好敵手を得て、両者競い合って幕内上位で活躍した。
1966年11月場所では前頭4枚目の地位で12勝3敗と好成績を収めて技能賞を受賞し、翌1967年1月場所では新関脇に昇進した。だが、大きく負け越して1場所で平幕に逆戻り。結局三役はこの1場所しか務まらず、小結経験は皆無に終わった。現役晩年は再び十両と幕内との往復を繰り返し、十両下位で途中休場した1975年1月場所を最後に、32歳で引退。その後は年寄・大鳴戸を襲名して朝日山部屋付きの親方となったが、同年10月、同部屋から弟子1人を連れて独立し大鳴戸部屋を創設した。
師匠となってからは、実業団相撲の英才・板井を小結に、維新力を十両に育て上げた。しかし、板井は引退後相撲協会に残れず、維新力は廃業後プロレスラーに転身して部屋は衰退。1995年には、連帯保証人となった借金のためにまもなく部屋の力士を桐山部屋に譲って、自らも相撲協会を離れた。
1996年、週刊誌『週刊ポスト』に元大鳴戸部屋後援会副会長の橋本成一郎と共同で告発手記を14回に渡って連載した。記事は八百長問題のみならず、年寄株問題、大麻の蔓延、暴力団との関わり、角界の脱税体質、第52代横綱・北の富士の八百長体質や黒い交友関係、乱れた女性関係などの裏事情を暴露し大きなインパクトを与えた。その後、「元・大鳴戸親方」名義で八百長などの経緯をまとめた『八百長～相撲協会一刀両断～』という本を鹿砦社から出版する。
しかし、告発本発売直前の4月14日、愛知県豊明市の藤田保健衛生大学病院内で高鐵山孝之進と橋本成一郎が相次いで急死。死因はどちらも原因不明の急性重症肺炎及び原因不明の心不全だった。二人が「同じ日・同じ病院・同じ病気」で死亡したため日本相撲協会の利権関係者による暗殺説が囁かれたが、病死として処理された。
この翌月、『週刊ポスト』は“元大鳴戸親方の死去は協会側の口封じである”という内容の記事を掲載。これに対し、日本相撲協会は名誉毀損で刑事告訴した。しかし、告発者である二人がすでに死亡しているので、嫌疑不十分で不起訴処分となった。
あまりにも偶然すぎるが、真相に関しては全く分かっておらず、告発者を支持する側は今でも「怪死」という主張を譲らない。
1996年4月14日死去(享年53)
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