1/1ページ目 部室で、椅子に座って練習メニューの確認をしていた手塚は、人の気配に顔を上げた。 「ねぇ、手塚、今日は何の日か知っている?」 「不二か。…いや、知らんな」 「じゃ、教えてあげるよ」 言いながら、いつもの笑みを浮かべて不二が近付いてくる。 「今日は…」 顔が至近距離まで近づいたその時、 バァン!と扉を壊す勢いで部室のドアが開けられ、小柄な人物が駆け込んできた。 「させないっスよ!不二先輩!」 駆けこんできたのはリョーマで、二人の間に割り込んで、不二を手塚から遠ざける。 「…あれをかわして来たんだ」 「あんなのじゃ、ムリっす」 そうリョーマが言った時、あんなの呼ばわりされた面々が部室に入ってきた。 「おチビ〜〜〜〜」 「え、えちぜ…ん…お前…本気で逃げんな…」 菊丸、桃城、その後ろに二年の部員達。皆、息を切らして今にも倒れそうになっている。 菊丸達は、不二に頼まれてリョーマを足止めしようとしていたのだが、部内1位の俊足の持ち主に本気で逃げられればどうしようもなかった。 「まだまだ、だね」 いつもの台詞で更に落ち込ませると、その光景を珍しく呆然と見ていた手塚の方を向いて、不二と同じように顔を近づけ、唇を重ねた。 「!」 それを見た部員達が驚愕するが、疲れ果てて声は出ない。 「あーあ、残念」 「部長にキスしていいのは、俺だけっス!」 そう言って、もう一度キスをする。 「越前、何故キスをするんだ?」 「そんなの、部長が好きだからに決まってるでしょ。だから、部長にキスしていいのは俺だけ」 無理矢理な理屈だが、何故だか手塚は納得してしまった。 「では、越前にキスをしてもいいのは俺だけ、ということだな」 「!」 その言葉に含まれた意味に、リョーマの顔に満面の笑みが浮かぶ。 「部長、大好き!」 言って、手塚の膝に座り抱きつく。 「ああ、俺もだ」 そう答えて、リョーマを抱きしめる。 キュッと回した腕を強くするリョーマをあやす様に背中をポンポンと叩いて、ふと考える。 (結局、何の日だったんだ?) 答え、 5月23日は、キスの日です。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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